【完】こいつ、俺のだから。
「こういうときは、
〝いいなー!あたしも連れてってほしい〟
って彼氏にいうんだよ」
「……でも仮の彼氏じゃん」
「バーカ。できる限り恋人っぽく見せねぇと、周りに誤解されるだろ。少しは空気読めよ!嘘でも言うんだよ、そこは!」
「……な、なるほど」
一度決めたことには手を抜かない。
なんてぬかりがないんだ、佐野悠月は。
あたしは少々感動しながら納得した。
「いいなー、あたしも連れてってほしい!
……こんな感じ?」
さっそく教わったとおりにに言ってみると、佐野はわざとらしく腕を組んで、あたしを見下ろした。
「ふ、ふーん……そんなに連れて行ってもらいたいのか」
ん?
「お前がどうしてもって言うなら、連れて行ってやらないこともないけどな」