【完】こいつ、俺のだから。
突然の一途宣言に真っ赤になって硬直するあたしは、弁当を持っていることすら忘れてしまった。
そんなあたしを見て、佐野はふっと笑みをこぼすと焼きそばパンを頬張ることなく袋の上に置く。
そっと伸びてきた手は、後ろから包み込むようにあたしを抱きしめた。
「その、すぐに顔を赤くするところとか好き」
「……っ」
「てかもう、お前の全部が好きだから」
鼓膜に届く、甘やかな吐息。
佐野の言葉が、あたしの体を熱っぽくする。
「やっとつかまえたんだ。もう離さねぇよ」
耳たぶに触れる佐野の唇がくすぐったくて、あたしは思わず身をよじる。
「ちょ……なに耳かじってんの!?あたし食パンじゃないんだけど!」
……だけどそれが心地いいなんて、死んでも言ってやらない。
「わかってるし。お前は仁菜だろ」
くすくすと笑いながら、さらに佐野はあたしの耳もとにその唇を密着させた。