【完】こいつ、俺のだから。




「なぁ、もしかして照れてんの?」



「て、照れてない……!」



「嘘。顔赤くしてるクセに、わかりやすすぎ」



なんてことだ。佐野に主導権を握られるなんて。



あたしばっかり余裕ないのが悔しくて、怒ってるんだと言わんばかりに、ムスッと頬を膨らませてやった。



その様子がおかしかったのか、佐野はとうとう声をあげて笑いだす。




「なに怒ってんだよ。頬なんか膨らませてないで、笑えよ」



「うるさい!あんたといて笑えるワケないでしょうが!」



「バカ言え。俺といていつも可愛く笑ってるじゃねぇか」



「っ……!」



柄にもない発言をサラッと言ってのける佐野に、あたしは不覚にもドキッとしてしまった。



その隙をつかれ、佐野はさらにあたしを抱き寄せる。




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