【完】こいつ、俺のだから。




「……佐野?」




小さな声で名前を呼ぶと、佐野はキッときつい目であたしを睨みあげた。




「俺以外のヤツに独り占めなんかされてんじゃねぇ!このブス!」



「え?……うわっ!!」



突如、逆方向に力が働き、あたしはベッドに引きずりこまれる。



佐野があたしの上に覆いかぶさって、身動きとれない状況になった。



緊急事態に思考がうまく回らないでいると、佐野はあたしの頬に手を添え、強引に自分のほうへと向けさせる。



「お前は俺をかまえ!
一緒にいてくっつきもできねぇし待ってるだけなんてつまらないだろ!」



「……へっ?」



キョトン。



それが今のあたしにピッタリの言葉だ。




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