【完】こいつ、俺のだから。

そんなあたしの顔を見て、これまた呆れたように盛大にため息をつく佐野。



「なんだよ……。
ふたりきりになりたいって思ってんの、俺だけ？」




拗ね口調でそう聞くと、甘えるようにあたしの首もとに顔をうずめてくる。



そして、俺ばっか好きでいやになる。と、か細い声でつぶやいた。



その吐息が直に首に吹きかかり、全身が熱くなっていく。




……なんだ。そういうことか。



佐野はあたしとふたりきりになりたいって思ってくれてたんだ。




「……ご、ごめん」



「……許さない」



「……っ」



佐野のサラサラの髪があたってくすぐったい。



少しずつ鼓動の速さが増し、ドキドキと心臓が音を立て始めてく。



ゆっくりと佐野が顔をあげ、間近で目が合った。