【完】こいつ、俺のだから。




「ごめん。……ダッセーな、俺」



ふっと自嘲気味な声が聞こえ、おそるおそる瞼を開ける。



目の前にいた佐野は既にあたしの上からどけていて、ベッドの端に足をおろして座っていた。



佐野がよけてくれた今も、あたしは硬まったまま動けないでいる。



「なに一人で不安になって焦ってんだろ……ホントバカだ……」



ここから見えるのは佐野の背中だけで、


佐野が今どんな顔をしてるのかわからない。




「……お前が俺を想う気持ちより、俺がお前を想う気持ちの方が大きいってことくらい、わかってたけど……でも。

こんだけ好きの価値観が違うと、やっぱ不安になる……」



あたしは佐野の言葉に耳を傾けながら、やっと体を起こした。



「妬いてばっかで、焦って、ガッついて


こんなんじゃ、いつかお前に愛想つかされちまうじゃないかって。
うんざりされて、明日になったらお前は他のヤツのとこ行っちまうんじゃないかって、怖がってばっか。


……なんて言ったら、やっぱ引くよな」



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