【完】こいつ、俺のだから。
こいつ、さっきから様子変だよね。
きっと疲れてるんだろう。かわいそうに。
「佐野」
「……なんだよ?」
焼きそばパンを食べ終えた佐野に声をかけると、彼は無愛想にこっちを向いた。
なに食ったらそんなキレイな肌になるんだ、とか、そんな気持ちは片隅に置いて。
「あたしの弁当食べる?」
仕方なく、本当に仕方なくだけど、そう聞いてやった。
「は?」
目が点の佐野。
「パンばっかだと栄養バランス悪そうだし。まぁ、酢豚は入ってないけど……」
「食う!」
すぐさま抑揚のある声で、佐野はそう言ってきた。
思いのほか嬉しそうな表情をしてる。
……酢豚入ってないのに。