【完】こいつ、俺のだから。
とりあえずあたしは、「はい」と弁当を差し出した。
「え。まじでもらっていいのか?」
「いいよ。あんまりいいもの入ってないけど」
「サンキュ……っ」
なんて無邪気な顔してるんだ。
お弁当を嬉しそうに受け取る佐野は、小さな子供みたいに見えた。
めっちゃ背が高くて、かっこいいのに、笑った顔は幼くて可愛い。
それが微笑ましくて、あたしはニンマリと頬を緩ませた。
佐野は楽しそうに、お弁当のおかずをどれにしようか選んでる。
卵焼き、ウィンナー、はたまたプチトマト。
ありきたりで酢豚っぽいものなんて一つもないのに、優柔不断のように悩んでる。
やっと、卵焼きに決めたようだ。
……が、はしで取ってもらえた卵焼きさんは、ピタリ、そこで停止した。