【完】こいつ、俺のだから。

ほんとのヒーロー




翌日。



今日は佐野と、駅前に新しくできたドーナツ屋さんに行く予定をしていたのに。



よりにもよって、そんな日に日直だったあたしは、放課後に日誌を書いて、職員室まで提出しに行っていたのだ。



佐野は当然のごとく「待ってる」と一点張り。



あたしが日誌書いてるとき、妙にご機嫌で、目の前で鼻歌なんて歌ってた。



どれだけ楽しみにしてたんだろう、あいつは。



仕方ないから早く戻ってやろう、と思って、歩く速度を早めたとき、事件は起きた。




廊下を歩いてると、前方からヒソヒソと話してる女の集団がやってきた。



そしてその集団は、あたしを見つけるとハッとしたように1度立ち止まる。



そしてまたお互いに顔を見合わせて、コクッとうなずくと、そりゃあものすごい勢いであたしのもとまで迫ってきた。



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