【完】こいつ、俺のだから。
「わ、わかればいい、わかれば。
仕方ねぇから、俺の近くにいるときだけ助けてやる。
それ以外のときは知らねぇからな!」
……とか言いつつも、どうせそれ以外のときでも助けてくれるんでしょ?
「しょ、しょうがねぇよな!お前俺の彼女なんだし、助ける義理なくても助けてやんなきゃいけねぇし。ほんと、いい迷惑だけどよ」
目を泳がせながら、饒舌に言い訳してる佐野。
あたしはもう、聞いてない。
「ありがとね。ほら、早く行こ。あたしもお腹減っちゃった」
「なんだよ。腹減ってるんなら早く言えよな。まぁ別に、ドーナツ好きなだけ食っていいぞ。今日のわびだ」
なんだそれ。
またひとつ、ぷっと噴き出しそうになった。
「佐野って優しいんだね」
「はぁ!?なに言ってんだよ!俺のどこが優しいんだ!このくらい普通だろ!変なこと言うな!」
顔を真っ赤にして、ほんとおもしろい奴。