【完】こいつ、俺のだから。
――『俺がこいつに、ベタ惚れだからだよ』
さっきのあの言葉、嘘だとしてもドキッとした。
真剣な顔してあんなこと言える佐野は、残酷だ。
そりゃあ他の女の子も、ドキドキしちゃうよ。
まあ、あたしは騙されないけどね。
だってこれは、恋人ごっこにすぎないから。
そのあとあたし達は、駅前のドーナツ屋さんに来てた。
そこであたしは人気のドーナツから新商品のドーナツまで、いろんなドーナツを堪能したが、やっぱ揚げ物はキツイ。
あたしは5個が最高だった。
しかし佐野は、幸せそうな顔をして軽くドーナツをたいらげていく。
初めて知った。佐野が甘党だったなんて。
「ちげーよ!俺はただ糖分摂取が足りてなかっただけだ!こんな甘ったるいもん好きじゃねぇ!」
と、これまた饒舌に否定していたけども。