【完】こいつ、俺のだから。
諦めれるかよ
【佐野 悠月 side】
恋に落ちたとき?
そんなの知らねぇ。
気づいたら、もうずっとあいつのことだけを見てた。
中学の頃、偶然同じクラスになった中原仁菜。
男女問わず、誰とでも仲良くて、わりと……いや、めっちゃ可愛い。
笑ったときは、ホントに破壊力ヤバイほど、可愛い。
俺はそんなあいつを、遠くから見てるだけだった。
俺のまわりには、女なんていくらでもいて、しょっちゅう告白とかもされていた。
だけど中原だけは、特別用がないと俺に話しかけてこなかったんだ。
その頃はまだ、自分の気持ちに気づいてなかった。
だけどあいつは、けっこうモテる。
よく男に呼び出されてたのを見かけたし、たぶん俺が知らない間にも、いろんな奴から告られていただろう。