無口なアオくん






あたしは急いで、今日新しく配られた新品の教科書やらプリントを鞄に詰め込んだ




そうしたら、まだ買ったばかりの鞄はすぐにいっぱいになって原型を留めていなかった



そんな少し不格好な鞄を肩にかけ




体の右側にずしりと重心がかかる



この状態で家までひとり、歩いて帰らなきゃいけないと思うと悲しくて



だけどもっと惨めになるのは嫌だから



あたしはできるだけ早歩きで、重い体を動かした




意外とまだ帰っている人は少なくて



きっとみんな、今日新しくできた友だちと学校に残って話をするんだろうな




そう思ったら



もうこれで精一杯だと思っていた早歩きは、増して速くなる




そして




道は、朝怖い人たちでつっかえたあの狭い路地





ここまで来るのに、もうあたしより先を歩いて帰っている人はいなくて




だから驚いた




あたしは少し息切れしそうなくらい急いでいたのに




ホームルームが終わった時間は同じはずなのに





狭い路地を




まだ中学生の面影が残る



今日ずっと見ていた、背中










「…アオくん」








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