無口なアオくん
思わず呟いてしまって
でも、それは息をするくらい小さな声だったと思う
「ん?」
…地獄耳。
振り返った彼は、やっぱり無表情だった
そのまま、じっとこっちを見て
あたしは胸が苦しくなる
人に見つめられるのは苦手なんだ
けれど彼はやめなくて、2分はたった思う
これは、あたしが何か言うまで続くのだろうか…
「…アオくん、友だちできた?」
あたしは
何を言ってるの!!!!
「うん」
だけど意外な言葉が返ってきて、あたしはちょっと
残念だった
アオくんは今日クラスでずっとひとりだったから
あたしは後ろの席だから
ずっと見てたんだ
あたしと同じだと、思っていたのに
そしてそんなことを思ってるあたしは
「そっか、ごめんね」
酷いね
だけどアオくんは無表情のまま、首を傾げた
「なにが?」
彼はあたしのこと
酷いなんてこれっぽっちも思ってないんだろうな、って
「違うの。あたしまだ、友だちできなくて」
なんでかな
彼があたしをまっすぐ見るから
綺麗な瑠璃色の瞳だから
あたしの返事を、待っているから
言わなくてよかったことまで言ってしまう
「……」
アオくんは黙ってしまった
そうだよね
いきなり私友達いませんとか言われても
困るよね
「…ごめん、なんでも
「俺もいない」
なかったことにしようとしたら
それを彼が遮る
「え?でもさっき、うん、って…」
「君がいないなら、俺もいない」
「う、え?」
あたしがバカだから?
アオくんの言ってることが、わかりません。