引き籠もりの双子の姉を救った俺。
夕食後、部屋で由紀とlineをしていると。
コンコン。
控えめなノックの音がした。
「どーぞ」
ゆっくりと扉が開かれる。
風呂上りで、
眼鏡を掛けていない美穂がそこにいた。
ほわほわとした、ドライヤー後の黒髪は
胸元まで伸びている。
「入るね」
癖なのか唇をとんがらせていて、
思い詰めているような表情に見える。
なんて、言われるんだろうか?
俺は、由紀との連絡を一旦止め、
ベッドに腰をかけ直した。
美穂は俺の目の前の床に
チョコンと体育座りをする。
「…あのね、広樹が
私のことを気遣ってくれて、
私は少しずつ変われたと思うの」
「うん」
「でも私は広樹にも、お母さんたちにも
期待に添えなくって…」
微かに声が震えていて、
俯いているので泣いているのかな。