引き籠もりの双子の姉を救った俺。
「美穂」
玄関の扉を開きっぱなしにしているので、
その先に立つ広樹が見える。
その広樹は、黒のジャンパーを着ていて、
フードのもこもこが首元に当たり暖かそうだ。
今日は、
広樹に諭されて、
“外に出る”予定の日。
「スカートなんて、
恥ずかしくて履きたくない」
外に出ない、言い訳。
「なら、買いに行こうぜ」
いざとなるとやっぱり怖くて、
あと少しのところ留まってしまう。
私は、全然強くなれない。
「ま、待って…あと少し」
前に、前に動かそうとする足が震えて、
ブーツの底と玄関の床がくっついたみたいだ。
冬に着れるような服は、
探したけどこのスカートくらいしかなかった。
今日の目的は、
駅前のショッピングモールに行き
服を買うことだ。