引き籠もりの双子の姉を救った俺。
ムートンブーツの中の足が
蒸れていく感覚。
広樹は、そんな私に内心呆れているだろう。
けど、真っ直ぐな眼差しは、
私を捉えている。
「じゃあ、ほら…」
広樹は、ジャンパーの裾から手を出し、
私に差し出した。
色んな意味で、ドキドキしてしまう。
もう、やるかない。後戻りできない。
私は小刻みに震えていて冷たい手を、
広樹の手に重ねた─────。
約一年振りに、外に出ると、
冬なのもあるのか、シンとしていた。
見渡す限り、私たち以外に誰も居なくて、
そこはホッとできた。
広樹に手を引かれ、
一歩、また一歩と踏み出す。
外って、こんな感じだったのだと、
懐かしさよりも、新たな世界に
踏み出したような感覚を得る。
頼りは、広樹の手のひらだけ。
私は、その頼りをギュッと、握り直した。