引き籠もりの双子の姉を救った俺。
「す、すごい」
私は老若男女で賑わう駅前を
少し離れたところから見て、
絶句した。
駅前に着くまで、広樹は手を繋いでくれた。
何だか彼氏彼女みたいだったはずだけど、
外に出る緊張に私はそれどころじゃなかった。
「案外、外に出てみたら大丈夫だろ?」
広樹は白い息を出しながら、
優しく笑う。
「でもすごく、キンチョウしたっ」
「まだ、行ける?」
目前に、行き交う老若男女。
私は唇を尖らせて、少し迷った。
でも、迷っていられない。
私は、迷いに後ろ髪を引かれないように、
深く、一度だけ頷く。
広樹は、嬉しそうに微笑んで、
行こう、と視線で促してくれる。
「えー、シブヤ着いたのー?
まだ駅なんだケドー」
「パーパー、でんちゃーだよ」
「そりゃないよな〜ワハハ〜」
みんな、日本人だとは思うけど、
様々な人種の人々がそこにはいた。
何の話をしているのだろうか。
彼らの目に、双子の私たちはどう映る?