引き籠もりの双子の姉を救った俺。
挙動不審な私を見てクエスチョンマークを
浮かべた広樹が見てくるけどスルーする。
そんな時だった。
「あれ?」
広樹の素っ頓狂な声色。
その視線の先には、
2人の若い男女の姿があった。
邪魔にならないよう、切符売り場の端で
向かい合ってだべっている。
その内女の人は、
どこかで見たことのある感じがした。
「由紀だ」
暖かそうなダウンに身を包む女の人は、
ヤナギダさんだった。
…広樹の、彼女。
「あの人、誰だっけ」
広樹が、恐らくヤナギダさんと
談笑している男の人について首を傾げる。
「広樹くーん!」
ヤナギダさんがふとした瞬間に
立ち止まっている私たち…
というか広樹に気付き、
手をブンブン振ってきた。
そこで、浮気じゃないんだな、と思った。