引き籠もりの双子の姉を救った俺。
シン、とした冷たい空気が
露出した頬に触れ熱くなる。
チェック柄のマフラーを口元まで上げて、
なんとか寒さに耐える。
2月の駅前。
平日の昼間なので行き交う人は
少なく感じられた。
ここまでひとりで外に出られたことに、
自分でも驚いた。
家から出たすぐのときは、
肩の震えが止まらなくて、
やっぱり諦めようとしたのだけど…
そうしないで、良かった。
けれど、ひとりで歩いていると
なんだか寂しい気持ちになる。
広樹は今頃、高校にいるのだろう。
もしかしたら、ヤナギダさんと
お喋りしているのかもしれない。
…前、太一くんからlineでそう言われたし。
とりあえず、最寄りのスーパーまで
あと少しの道のりなので、
もうひと踏ん張り、がんばれ自分。