引き籠もりの双子の姉を救った俺。
私、“寂しい”と思っている?
いやそれは李人くんが
いい人で楽しかったからで…。
モヤモヤと、
心に霧のような感情が広がっていく。
「美穂」
俯いた私に、優しげな声が掛けられる。
見上げると李人くんが、
真顔でこちらを見ていた。
目が合い、
まるで時が止まったかのような錯覚に陥る。
しかし、実際は、
時は止まることなく動いてる。
「え?」
李人くんの顔が私の目の前にあり、
頬に柔らかい感触を得た。
ほっぺたに、キスをされたと気付くまでに
そう時間を要さなかった。
「またね」
李人くんは意地悪そうな笑みを浮かべ、
改札へ、吸い込まれていく。
ドキン。
私の顔、真っ赤だろうな…。