引き籠もりの双子の姉を救った俺。
私の反応をからかわれただけ。
それだけなのに、脈打つ心臓はときめいていた。
そのまま李人くんが消えて行った改札を
じっと見つめる。
「きゃ」
ぼぅっとしていたら、
サラリーマンっぽい風体の人に
ぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
男の人も頭を下げて
どこかへ行ってしまう。
完全私の不注意のせいだ。気をつけよう。
私はバレンタインの材料の入った
スーパーの袋を握り、足早にそこから去った。
辺りは暗くなってきたけど、
なんだかソワソワと宙に浮いたような感覚が
すっと私にまとわりついていた。
─────『作ってくれる?』
これは、バレンタイン、
作るべきなのでしょうか。