引き籠もりの双子の姉を救った俺。
「ただいまー」
家に帰ると、鼻につく、
チョコレートの芳しい匂いがした。
俺は甘党なので、その匂いは好きだ。
口内で、唾液が分泌される。
その匂いの根源、キッチンに直行すると、
出しっぱなしのまな板や100均の、
お菓子の型などが粗雑に置かれていた。
チョコレート、作ってたのか?
でも…。
母さんは、今日パートだって言ってた。
作る可能性は皆無とも言えるが、
もちろん父さんもいない。仕事だ。
考えられるのは、美穂。
俺は冷蔵庫を開ける。
「お〜」
プレートに並べられた、
カップに流し込まれて固まっている
チョコレートたち。
食べていいかな?いっぱいあるし。
小腹が空いてた俺は一つだけつまんだ。