引き籠もりの双子の姉を救った俺。





「似合う、かな?」



上目遣いでそう尋ねられた。



これ、バレンタインだからだよな。

きっと、特別な日だからいつもより
オシャレというか変化をもたせているのだろう。



「どーだろうなあ」



俺はわざと、焦らすように言う。



案の定困惑した表情を浮かべた由紀。



「ひ、広樹くんを思ってやったんだよ?」



だから、ね?褒めて? と
ヒシヒシと視線で訴える由紀。



「うんうん、可愛い」


「あーもー!なんで笑ってるの!」



「いやでも、ガチで似合ってるよ」


「ガチですか?」



真顔で俺が言うと、
華やかな笑みを浮かべたので
花を撒き散らされているように錯覚する。




「なぁにイチャイチャしてんのさ!」


「すみちゃんおっはよー」



俺ら…特に由紀に声を掛けてきたのは、
由紀と仲良しの平沢という女子。



この子も由紀と同様に人気があるのだが、
彼氏とか浮ついた噂は一切ない。

少なくとも俺は聞いたことない。




< 244 / 263 >

この作品をシェア

pagetop