引き籠もりの双子の姉を救った俺。
「すみちゃん、ちゃんと持ってきた?」
由紀が人畜無害そうな表情で平沢に話をふる。
すると、珍しく平沢は動揺して
りんごみたいに頬を紅潮させた。
「ちょ、今それ言う?
聞こえるでしょうが、相沢に」
「いいじゃん、沢友でしょ」
「待て由紀、沢友ってなんだよ」
確かに俺は相沢で、
平沢と『沢』が共通だけどさ。
「だからね、沢友として、
広樹くんも一緒に会議しましょうよ」
「だから沢友って…」
そこはことごとくスルーされた。
「すみちゃん、これは逆にチャンスなんだよ。
広樹くんは、太一と仲良いから」
「むぅぅ」
平沢は渋る。
ていうか、何で太一?
俺はチラリと太一の机の方を見るが
あいつはいつも、遅刻寸前に来るので、
まだ来ていない。