引き籠もりの双子の姉を救った俺。
「おーい!由紀と由紀カレ〜!」
ブンブンと手を降る茶髪の男の人。
ダッフルコートを着た、由紀の兄。
由紀カレって…。
由紀のお兄さんは、
駅前のニューディズの前に、
入り口の邪魔にならないように立っていた。
「いやぁ、折角のバレンタイン
邪魔しちゃって申し訳ないね」
そう言いながらもニコニコする由紀兄。
俺、由紀、由紀兄こと李人さんの三人は
並んで俺の家路を歩く。
なんとも奇妙な組み合わせ。
「美穂、
最初駅まで来るとか言ってたけど、
今日寒いからさ、身体を冷やさないために、
広樹くんにお願いしたんだよ」
え?『美穂』?
いつの間に呼び捨てに?
「あ、美穂ちゃんって言うべきだったかな」
李人さんは俺の心中を察したのか
そう弁解する。
会ったのは一度切りらしいが、
呼び捨てする関係にまで発展したのか。
やるな、美穂。
「お兄ちゃんの女ったらし〜。
広樹くんのおねえさんに変なことしてない?」
「いやいやそれはないから」
由紀の吐いた棘に対し、李人さんは首を竦めた。
「あの、ここウチです」
歩くこと十数分、
柳田兄妹を連れて、相沢家に到着した。