引き籠もりの双子の姉を救った俺。
「キャッ」
扉を開くと、玄関にはコートを羽織り、
マフラーを装備した、
今にも出掛けそうな服装の美穂がいた。
ドアにぶつかりそうになって、仰け反ってる。
「ごめん」
「広樹?」
美穂が守るように抱えてるのは、小さめの紙袋。
お洒落なロゴが印刷されている。
「後ろ、お客さん」
「えぇ!?」
美穂に、俺の背後で待つ李人さんを
見るように促すと、美穂は、
案の定目をひん剥き驚く。
「やっほ〜」
「こんにちは」
李人さんと由紀が軽く挨拶すると、
美穂は頬を赤くして、
「こんにちわっ」
と、俺の横をすり抜け、外に出た。
そんな美穂に、
すかさず李人さんが元気だった?
と話し掛ける。
「ヤナギダさん、家上がるよね?
ちょっとそこの公園行ってくるね」
俺らの気遣いからか、
美穂は近所の公園でバレンタインを
渡すみたいだ。
「じゃあね。ちゃんと送り届けるからね」
李人さんがそう言い残し、手を振る。
緊張面の美穂は由紀に対し、
ペコリと頭を下げた。
残された俺らは顔を見合わせ、
クスリと笑った。
「すごい、お兄ちゃんから
美穂さんのお話は聞いてたけど、
あんな風になってたとは思わなかったよ」
「俺は、さっきまで知らなかった」