引き籠もりの双子の姉を救った俺。
俺は立ち話もなんだから、
と由紀を自室へ案内した。
二度目の訪問になる。
まぁ、この前はお見舞いに来てくれたから、
少し状況が違うけど。
俺は、キッチンからオレンジジュースを
紙コップに注いで持ってくると、由紀に出した。
「ありがとう」
ブレザーの裾からちょこんと出た、
白い手でコップを持つ。
なんだか、その仕草もせわしなくて
落ち着かない様子だ。
「あの、これ」
俺がキッチンに行っている間、
用意してたのか由紀はピンク色の袋を差し出した。
「お口に合うか分からないけどどうぞっ!」
はにかみながら言う由紀。 悩殺。
早速中身を見ると、
ふわりと甘い匂いが飛び込んできた。
袋の中にあったのは、
手のひらに少し余るくらいのサイズの箱。
開墾してみると…
お洒落にベリーが装飾された
白いタルトが入っていた。
「チーズタルト作ってみたのっ。
チョコだとアレかな〜って思ったから」
恥じらうように由紀は説明を添えてくれる。
「すげぇ美味しそう。食べていい?」
器用なんだな、と思いつつ俺は立ち上がった。
「ごめんね、まさか目の前で
食べてもらえるとは思わなくて、
フォークとか入れてなかった」
全然問題なしだ。