引き籠もりの双子の姉を救った俺。
俺は思わず声が裏返った。
チーズタルトを食べ終え、
フォークを置いた俺に、
由紀が飛び掛かるようにして
くすぐってきたからだ。
「ちょ、それずるい!」
「参った?」
俺はコチョコチョに弱いので、
笑い転げてしまった。
その笑いが収まった頃、
ここでようやく状況の甚大さに気が付く。
…密着し過ぎだこれ。
コチョコチョしてたせいか、
由紀が俺を押し倒すみたいに馬乗りになってるし。
由紀も同様に、
気がついたのか頬を赤らめて静止してる。
「由紀」
「ほ、ホワイトデーちゃんとよろしくねっ」
「うん、お返しは任せろ。
あぁ、でも…」
由紀は首を傾げた。
「こっちでもお返しようか?」
こっ恥ずかしい気持ちを抑え、
由紀の顔を引き寄せた。
一瞬驚いたものの、
すぐに受け入れてくれて、
─────俺らはキスをした。
チーズタルトの、甘酸っぱい味がした。