引き籠もりの双子の姉を救った俺。
バレンタインから数日が経った。
「あの、広樹ちょっといい?」
休日で、今日は一日ゴロゴロしようかと思っていながらリビングでテレビを見ていた俺に、私服に着替えていた美穂が声を掛けてきた。
バレンタイン、美穂は俺と由紀がまだ部屋に居た時に帰宅していたようで、由紀が帰るとき、複雑そうな表情をしていた。
それもそうだ、俺は、少し…軽率かもしれない。
美穂に気持ちを打ち明けられてから、多少は気遣っていたものの、由紀が現れたらショッキングなはずだ。
「私、高校生になろうと思う」
「なっ!?」
突拍子もない発言。
美穂の中でそんな話が進んでいたのか。
ここまで心を動かされるなにか出来事があったのだろうか?
「高校生って、高校に通うのか?」
どの高校に通うにしても、一学年下になる。
「夜間制で、四年掛けて通おうと思う」
「ヤカン…か」
夜間制だと、四年掛けて通えば卒業出来る。
基本的には経済的などの都合で、昼間に働いて夜間に勉強…という形だが、美穂のようなケースもあるのだろう。
「母さんにはもう言ったの?」
まぁ、さすがにそんな重大なこと、母さんに言わずに弟の俺に先に伝えるってことはないだろうな。
しかし、美穂はフルフルと首を振った。
「えと、まだ…」