引き籠もりの双子の姉を救った俺。




好き好き言われると、
いくら血を通わせた姉でも、

変な気分になる。いや、興奮ではなくて。



しかし、美穂の一生懸命に言葉を紡ぐ姿に
心打たれ、俺も、口を開いた。




「…俺も逃げてたのは同じだよ。
だって、今まで美穂が引き籠もってんの、
ほぼ関係ないってスルーしてたから。

ほんとは、もっと早く行動するべきだった。
ごめん」



それなのに、美穂の気持ちを考えず、
傷つけてしまった。


由紀を連れている俺を見て、
彼女はどう思ったのだろう。



「ひ、広樹が謝ることじゃないよ!」



美穂は頬を赤くして否定した。




「分かったよ」




軽く笑って、再び美穂の目をしっかり見た。




「なんだっけ、
“気持ち切り替えられるかも”って」




「────李人くんと、次会う約束したの」




「李人くん?!」




由紀のお兄さんのこと、
李人“くん”って呼んでるのか?

李人さんは、美穂のこと美穂って言ってたし。


次会う約束って、アレかデートか。



「実はね…」



美穂はもったいぶるように切り出す。



「なに」



「…ごめんやっぱり、まだ秘密」




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