引き籠もりの双子の姉を救った俺。





ふと、手首に目が留まる。




死なない程度に、と作った傷跡。



痛々しくて、気持ち悪くて、
視界に入るだけで、あの鉄の臭いがする。




馬鹿みたいな、私。




自己嫌悪で、風呂場のカミソリでザクッと
やったら、思ったよりもずぅっと痛くて、

生きているという感じがした。



あれ以来、愚かにも、
私は定期的にその傷を更新し続けている。





死のうと首を締めたときもあった。
衝動的にだったから、自分の手で。




もちろん死ねなかった。




息が苦しくて、酸素が欲しくて、あのとき、
ブラックアウトする寸前、私は手を放した。

後悔の涙しか出てこなかった。





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