引き籠もりの双子の姉を救った俺。





「そんな急に外とか言われても、困るよな。
つい、カッとなっちゃったんだあのとき」




私は、広樹がそれを気にしていたことに驚く。



だって、私だったら、

あんな意味不明なムカつく態度されたら、
相手が困るとか、

そんな風には考えられないから。




「でも、美穂」




ためらうように、でも、と続ける。




私は金縛りになったみたいに、
身体が動かず、声すら出なかった。




「外に出ようと、努力してみてほしいんだ」




そんな言葉をかけられて、
情けない気持ちでいっぱいになる。




「もちろん、美穂ひとりでじゃないよ」




声が出てこないよ。




< 49 / 263 >

この作品をシェア

pagetop