タッチで恋愛!魔法大会トリスト
「…はい。」
覚悟はできてます、というような言い方だった。
「私…。」
私の方にも、少なからず覚悟はあった。
「インファントムの影響で…。」
次の言葉が、なかなか口の中から外に出てくれない。それでも、何とか振り絞ってみた。
「魔法が…使えなくなってきてるの。」
「魔法が使えない…?どういう事ですか、それ…?」
「私のこの能力って、副作用があるらしいの。インファントムに目覚めた人間は、その代償としてあらゆる魔法が使えなくなるらしいの。新先輩が言ってた。」
「須木本先輩が…?」
「うん…。嘘言ってるのかな、なんて思ったんだけど、あの人嘘はつかないから…。」
騙してごめん、という言葉が、私の口の中で消えてしまった。それだけは、どうしても言えなかった。
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