タッチで恋愛！魔法大会トリスト

「うぅっ…うっ…！」
抑えきれずに、嗚咽を漏らす私。人に見られるのが恥ずかしくて、髪で顔を隠す。
「俺、先輩の事ずっと守りますから。」
私の頭を優しく撫でる、凰くんの男らしい手。人間に手が二つあって、本当によかった。
「ごめんね、凰くん…。」
「結乃先輩、俺を頼っていいですよ。ほんの、恩返しです。」
360°どこを見ても魚、というアクリルのトンネルの中で、私はただ、泣く事しかできなかった。
「…行きましょう、先輩。」
凰くんが私の手を引き、歩き出す。
「いつもは先輩がいろいろしてくれてますけど、今は俺が先輩をリードする番です。」
凰くんが、いつもより一層男らしく見えた。私は涙を拭うと、足を前に進めた。