タッチで恋愛!魔法大会トリスト
「そうだったんだ…。あっ、じゃあ、雨が降って、雷が鳴り出した途端、泣いてたのは?どうして宇佐木くんは泣いてたの?」
「それは…。」
今まで何でも話してくれたシーが、言いづらそうに表情を曇らせる。宇佐木くんに、一体何があったの…?
「…凰が雷雨を怖がるのは…。」
「うん…。」
「雷雨の日に…母親に捨てられたのが原因だにゃ。」
「えっ…?捨てられた…?」
「そうだにゃ。触れただけで心を読んでしまう凰を、母親はとても気味悪がったんだにゃ。まだ小さかった凰は、聞こえた声を、無邪気に口に出したりしてたんだにゃ。他にも、色んな気苦労がたまって、ある雷雨の日に、家を飛び出して行ったんだにゃ。」
「そんな事が…。」
だから、雷雨が怖いのか…。大好きだったお母さんに、捨てられた日の事を思い出してしまうから…。
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