戦場のバレンタイン
 けたたましい爆発音。そして、画面いっぱいに張り付くおびただしい量の血と肉塊。

 こんなむごたらしい殺し方をしなくても……。

 首領は牧師に爆弾を仕掛けて爆発させたのだ。

 再びカメラに近付く首領。

 カメラのレンズらしきものについた血の汚れをいい加減に拭き取って、自らを映させながら冷酷に告げる。

 画面の中、牧師の姿はどこにもない。跡形もなく爆散させられたのだ。

「解放同盟軍の諸君。さあ、早く降参したまえ。こんな死に方をしたくないのなら」

 その途端に俺の視界には何も映らなくなった。

 なんだこれ……前が見えない……。

 高らかに笑う首領の不快な声を聞きながら、俺はその場に立ち尽くした。

 俺が牧師を奪われなければ……。ちゃんと彼を守っていれば……。

 後悔の念は尽きることがない。
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