紙ヒコーキ~思いを飛ばせて~
女は黒ぶち眼鏡に、スカートを長くしている。

地味な奴だなぁ…。

青春楽しんでないな。

「あのっ…ありがとうございます!」

女は礼儀正しく深々と礼をする。

「いや。別に良いよ。で…名前は?」

「えと…石田優羽《イシダユウ》です」

優羽………?

俺はビクッと反応した。

優羽……どこかで……。

顔を見たけど、こんな顔知らな……ん?

女は俺の目を全然、見てない。

それに…この顔…どこかで………。

──せんせー!──

誰の声…いや…目の前の石田優羽の声が頭に響く。

「どうしたんですか?」

石田優羽は首を傾げる。

──お兄ちゃん…──

お兄ちゃん…?俺に妹はいないぞ。

──死神が…──

死神って…?
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