甘くない現実

 教室に戻ると、隠れようとして失敗していた彼女がそこにいた。

 「なんだよ、いつまで帰らないんだ?」
 「え?なに?」
 「今日、部活無い日だろ。」
 「うん。」

 なんだよ、なんで隠れようとしてたんだよ。

 「誰か、待ってたのか?」
 「うん。」

 手元に何か、箱らしきものを持っている。

 「チョコか?」
 「うん。」

 聞いていいものだろうか。

 「誰に?」

 そう聞くと、彼女はもじもじとしていた。

 「なんだよ、遠慮する仲かよ。」
 「だってさ……。」

 まさか……?

 「これ、一応、あげるよ。」
 「なんだよ、一応って。」

 そうだよ、一応って何だ?

 「それは……その……」

 その、もじもじした様子……失敗したのか、それとも、期待していいのか……
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