-COLOR VARIATION-
Past
「好きな人がいる…?」
告白なんて考えもしなかった、ただ好きという感情を描いただけの頃。
背伸びして、大人に見せるように誤魔化していた見た目とは裏腹に、誤魔化しが効かない感情にあたふたしていた私は、友人に相談を持ちかけた。
「その通りです」
「あんたが?」
「はい」
「……誰にでも訪れるものだね、吃驚だよ」
「因みに一番吃驚してるのは私だと思われます」
彼氏持ちな友人は、私が好きな人がどんな性格かを聞くと、あーだこーだとアドバイスをくれる。
参考がてら一応耳を傾けてはみるものの、それは片想いの場合には当てはまらないであろうアドバイスばかりで参考にはならなかった。
「そんなの、無理だよ」
と、アドバイスを実行させるに対しても、その片想いをどうにかすることに対しても反抗をしてはみるが、「ふざけるな」と一喝されてしまった。
「無理って言わないでよ、なんで私を呼んだのよ」
「それは、話を聞いてもらおうと……」
「なら、私の話も聞いてよね。アドバイスが参考にならないなら、計画立てるのと後押しぐらいはしてあげるから」
「計画?!」
「告白するんでしょ?何、そのつもりじゃあなかったの?」
友人からの問いにぶんぶんと首を左右に振って否定した。
私が聞いてほしいと言ったのは確かだが、それはただ聞いてほしいだけであって、決して進展を望んでどうすればいいかを教えてもらいたいわけではない。
勿論、進展させようなんて考えてはいない。
「せっかく恋出来たんだから、進展させてみなよ。言っとくけど、あんた見る目あるよ。今、フリーだからあの人。」
そう言って妖しく笑った友人に言葉巧みに誘導された私は、結局告白をすることを約束に友人と別れたのだった。
後々ものすごく後悔することとなったが、もう収集がつきそうになかったのは変えられない現実。
私は腹をくくるしかなかった。