ヘタレ王子と子猫
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キーンコーンカーンコーン
「美麗〜!購買にパン買いにいこ〜」
「いや、今日は弁当持ってきてるから。」
「ひっどい!パン買いにいくくらい付き合ってくれてもいいじゃない!あと天気いいから中庭で食べよ!」
「はいはい。」
節約のため日頃から弁当を作るように心がけている
もちろん会社に行く親父と長男の兄、大学に通う次男の分も
自分で買えって思うけど、美味しいからっていっつも頼まれるから断るわけにはいかない
まあどうせ自分の作るからついでになんだけどね
「やっぱ外で食べるとピクニックみたいでいいね〜!学園の庭園まで見えちゃうからちょうどいいわね」
「変わらんでしょ」
「美麗ってば本当ロマンスに欠けるわね。どんだけ周りに興味無いのよ」
私ってそんなおかしいかな〜
女の子がいう可愛いとか綺麗とかよくわからない
涙もののドラマやベタベタの恋愛ドラマにも
もちろん恋愛そのものもわからない
猫は好きだけど…
「いや〜ん誠様!今日もお美しいですわ」
「誠様!来週わたくしのお家でパーティがありますの。是非お父様にご紹介したくて」
なにやら学園側の庭園でお嬢様たちが騒いでいる
「君という太陽のおかげで、昨日のどしゃぶりだった僕の心は晴れやかだよ」
「あら、誠様。そんなご冗談を…。なにか良いことでもあったんですの?」
「…ええ。ちょっと可愛い子猫に出会いましてね。」
またいる…あの気持ち悪いナルシスト
あの歯の浮くセリフはなんなんだ
あといちいち髪の毛を触るのもうざったい
「あ、大野誠くんじゃ〜ん!こっち見てくれないかなあ。お〜い!」
「ちょ!やめろよ!ただでさえ近づきたくないのに」
「あのお金持ちが私たち庶民にそんな深く関わることないでしょ。一回くらい話してサインでももらっとこうよ」
「そんな芸能人じゃないんだから……」