貴方を忘れない
付き合い初めて
ほんの少し経つと
彼は、住んでいる所を離れ
しばらく
出稼ぎしなければならなくなった。
彼は伯父と二人暮らしで
18歳から
生活費を稼ぐ他なかった。
詳しくは聞けなくて
未だに
曖昧な部分が多いのだけれど
腹違いの兄弟が数人いるらしい。
彼はまるで
パズルのようで
埋まりそうで
埋まらない
埋めようと試みて
その手段が目前になると
1ピース足らないのに気付く。
そのピースは
淋しさだったり
劣等感だったり
他人や仕事では埋められない
たった一つのピース。
私はきっと
彼のピースになりたかった。
だから彼がやる事
したい事
好きな事も、嫌いな事も
全てに興味が向いた。
合わせようと言うより
『知りたい』
そう想わせたのは
彼の『強さ』と言う『弱さ』で
甘えない『強さ』と
甘えられない『弱さ』
そしてその強さを
弱さを知っていたのに
私は
それを試してしまった。
そして、彼を
失ってしまった。