貴方を忘れない
クリックをして
すぐに、画面の中で
無数の文字達が
私を歓迎した。
『ガハハ!良く来たな!(笑)』
口調は幼稚だけど
恥ずかしくもなくて
逆にホッとできた。
バーチャルを
バーチャルとして
バーチャルならではの設定で
楽しめる場所、人達。
それが
『海賊団』だった。
皆が入り交じって話し
誰と誰が会話してるかも解らない。
でも皆
楽しんでいて
気兼ねなんかなくて。
そこに居た
船長を名乗る一人の男の人。
誰よりも横暴で
誰よりも気さくで
楽しそうで
そして誰よりも
笑っていた。
バーチャルなのに
まるで笑い声が聞こえて来るような
そんな気がして
彼の顔も
声すらも聞いた事がないのに
何日か通った頃
私は彼に恋をした。
そして
彼の彼女と名乗る女の人を
いつもいつも
羨ましいと思うようになった。