貴方を忘れない
朝方まで
彼は私をなだめ
私は
止められない気持ちに
グシャッと潰れそうで
心の中で
小さく何かが壊れた
『我慢なんかできない』
頭の奥で響いた声
それはジワジワと
私の血液に乗って
体中に痛みを走らせながらも
私に笑顔を作らせた
「ワガママ言ってごめんなさい…」
「いや…側に居られんでごめんな。」
「ううん…我慢する。困らせてごめんね。」
「うん…そろそろ寝るか?」
「そだね。」
何事も無かったかのように
二人で重なって眠った
彼の寝息を聞きながら
声を殺して泣いた。
奈良に行く決意をして。
独りになるのを恐れて。