貴方を忘れない
1999年-勇気-


チャットに明け暮れる毎日が
私には
いつまで経っても新鮮で
夜11時の
テレホタイムと同時に
接続にチャレンジして
何度も何度も
エンターキーを
押していた。

やっと繋がると
そこにはほぼ必ず
貴方が居てくれて
嬉しくなって
それと同時に
そこには
ほぼ必ず彼女もいて
悲しくなった。

彼女は
彼と会った事があるらしく
顔も可愛いと評判で
並の並な私に
勝ち目はないと理解していた。

それでも
『いじられ役』でも
『けなされ役』でも
なんでも良いから
彼に
できる限り
近い存在で居たかった。

たくさんの
友達ができて
たくさんの話をした。

今日あったことも
面白い漫画の話題も

ただ一つだけ
言えなかったのは
『船長が大好きで、私だけのモノにしたい』
と言う
本音だけだった。


私が、暇を持て余し
少し早い時間に行った時の事。

そこに船長は居なくて
彼女と
数人の友達がいた。

そこで私は不謹慎にも
画面の前で
両手をあげて大声で
『やったー!』
と、叫ぶ事になる。


「私、もぅ船長怖くて無理!」

彼女が
仲間達と話して居たのは
『優しくないから別れた』
と言う内容だった。
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