幕末バレンタイン【企画短編】
「土方さん……?」
それから、何度か呼びかけても、返事はなくて。
「……すー、すー…」
聞こえてきたのは規則正しい寝息。
それを聞いて、ふっと力が抜ける。
そして少しほっとして、小さく笑った。
「……また、作りますね」
「……Zzz」
ゆるゆると、だんだん力がなくなっていく土方さんの腕から逃れて、布団をかけ直した。
「みや……び…」
寝言でも呼んでくれているのが嬉しくて、ついつい頬が緩んでしまう。
私は土方さんの部屋の蝋燭を消すと、そこから出たのだった。
「桜廻る」から、雅×土方
終わり。