幕末バレンタイン【企画短編】
「……」
いいかな、こんなんで。
とりあえず、ぐるぐると箸でかき混ぜてみる。
すると、だんだん、とろとろだったチョコは固まって丸みを帯びてきた。
そしてふんわりと甘い匂い。
うーん……
……ちょっとだけちょっとだけ。
指でつまんで、パクッと口に入れてみる。
「ん?……あれ?意外といけるかも?」
なんか……生チョコ、みたいな。
生クリーム使ってないのに?
って、この時代にあるわけないか。
でも、生チョコじゃないけど、生チョコっぽい味がする。
……もしかして、完成⁉
よしっ、じゃあこれを固め……
あれ?
「冷蔵庫ないんだった」
と、気付いてまた項垂れる。