幕末バレンタイン【企画短編】
まだあげるのは早い気がする。
山崎早くどっか行ってちょうだいよー……っ。
「その割には、なんか不思議な匂いが……」
「え、えぇー?き、きっと山崎の勘違いじゃないかな……?」
あぁ、駄目だ。
こんな嘘、絶対山崎に通じない気がする。
すると、急に山崎は眉間にしわを寄せた。
そしてその視線は、床に。
……え、床?
「あ……あーーっ!」
さっき、私が落とした卵!
片付けるの、忘れてた。
叫んでしゃがみ込むと、布巾で急いで床の卵を拭き取る。
「アホ」
ふっ、と頭上で山崎が笑っている。