リトライ。


自分たちのドリブルの音だけが響き渡る。


「どう?お嬢さん、もう1回1on1でもするか?」


うーんと考えながら私は言った。



「まだやめとく。私の体力が戻って来たらもう1回やろう」

「逃げんなよ?」

「もちろん、負けっ放しは嫌なんで」


陽介はふっ、と笑った。


それからは左右のコートに別れてシュート練をした。


ジャンプシュートやレイアップ、3Pやフリースロー。

様々なシュートをしていきながらも私は振り返って陽介のシュートを眺めていた。


ーーシュッ。

ーースパッ。


「すごい……っ」


陽介のシュートはいつも息をのむほどキレイなフォームだった。


手から放つボールはいつも同じように弧を描いでゴールの中へ入って行く。


「ん?」


すると私の視線に気づいた陽介は振り返った。


「どした?」


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