リトライ。


私が言うと陽介はフリースローラインに向かい、そこからシュートを放った。


「入れ!」


ーースパ。



「これでよくね?」


私は口をあんぐりと開けた。


「それが出来たらいいけど……普通は色々考えちゃうよ」

「雑念はいらねぇよ。信じて打つだけだ」


そっか……。
そんな風にシュートを打っていたんだ。

改めて陽介は強いなって思った。


「やってみ、難しいことじゃない」


すると陽介は私をフリースローラインのところまで引っ張った。


「シュートを構えて、まっすぐにゴールを見つめて」


陽介の言われた通りに、ゴールを見つめシュートを構える。


「その時に周りは見るな。

ゴールだけを見て入れって思いながら手から放つんだ」


こくん、と頷き、まっすぐにそれだけを見つめて手から放った。

するとそれはキレイな弧を描いてゴールへと吸い込まれた。


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